61.決戦は火曜日

「分かっているだろうな、リーブ」
「・・・はい?」
「火曜日中にリストを作成し、速やかにあたしに提出するんだ」
「あ、あの・・・シャルアさん?何の話ですか・・・?」

早朝。
家であるWRO寮のリビングで、私は妻であるシャルアへカリカリに焼いたトーストの皿を渡しつつ首を傾げた。上にはベーコンエッグが乗っている。それをきっちりと受け取って一口かぶりついた彼女は、やはりきつい目で言い切った。

「しらばっくれるとはいい度胸だ。浮気候補を知られるのがそんなに恐ろしいか」
「はいい!?」

一体何のことやら。
よくわからないなりに、一応彼女の台詞を手掛かりに考えてみた。

浮気?
リスト?
火曜日・・・?

・・・そういえば、火曜日は。

「もしかして・・・ヴァレンタインデーのことですか?それが何故浮気候補になるんです?」
「ふん。あんたを合法的に手に入れたのはあたしだ。だが世間一般には知られていない。つまり、隙あらばあんたを奪おうとするライバルが挑戦状を送ってくるに違いないからな!」

どん、とホットミルクの入ったマグカップがテーブルに叩きつけられた。頑丈なカップにしていてよかったと安堵する。

けれど、問題はそこではない。

「あ、あの。合法的・・・はまあ、その籍を入れてますし、間違いではないんですが・・・。その、勘違いですからね?私に送られてくるものは形式上なものか、友人の親愛を込めたものか、不審物ですから」
「知らんのはあんただけだろうが」
「何を言ってるんですか!?」

全く私の意見を聞いてくれないシャルアに叫んでいれば、残りのメンバーも集まってきた。

「おはようさん。相変わらずラブラブやなー」
「ふん。くだらん、さっさと俺にもトーストを寄越せ」

二人が呆れる中、妻の妹は反応が違っていた。

「おはようございます。お姉ちゃん、そのリストは私が責任をもって作成するから安心してね」
「シェルクさん!?」
「ああ、頼む」
「ちょっとですから勘違いですから!!!」

fin.