「それ、ちょっと貸して貰えませんか?」
「・・・これ、か?」
「ええ」
にこやかな笑顔のまま頷いた上司に、
俺は背中のバスターソードを無造作にとりあげ、ほい、と片手で渡してやる。
「ありがとうございます」
両手で受け取った相手は。
途端、前方に傾いた。
「・・・って、重すぎませんか、これ・・・」
何とか踏ん張っているが、明らかに負けている。
そうでなくても慢性的に体力満タンとはいかないやつだ。
懸命に両手で支えている相手の姿に、俺はやはり噴き出した。
「ちょっと、笑わないで下さいよ・・・」
「や、もう、余りにも予想通りすぎて・・・!!!」
そこへ、失礼します、と声をかけて職員が入ってきた。
彼は局長の状態を確認すると、一つ瞬きをした。
「局長。遊んでいる暇があるのでしたら仮眠してください」
「・・・あの、そこは仕事しろと注意するところではないんですか」
「書類を持ってきた私がいうのもなんですが、貴方は仕事しすぎです」
暫く俺の剣を構えようと頑張っていたらしい上司は、案の定、へたばった。
「・・・で、どうするよ、局長」
「・・・降参です。私には扱えませんよ・・・」
ひょい、と俺は剣を取り上げ、背中に戻す。
「あんたじゃ無理だ」
「・・・返す言葉もないですね」
「・・・それでいいんだ」
「へ?」
「あんたは、こんなもの必要ない」
「・・・?」
fin.