花嫁

シェルクが遂にアイスボーンストーリーの最終ボスを倒した。
その知らせを受けて、あたしは集会エリアで妹の帰りを今か今かと待っていた。
そして、待ちに待った声が、可憐な声があたしを呼ぶ。

「お姉ちゃん!」
「シェルク!アン・インシュワルダ討伐おめで・・・」

彼女へ振り向いて、『とう』、と続ける筈のあたしの声は、余りの衝撃に途切れた。

「・・・お姉ちゃん?」

訝し気に中央テーブルに駆け寄ってきたシェルクの姿に、あたしの全ての挙動が止まった。
目が点になったというべきか、どうしていいのか分からない。
再起動ののち、あたしは口を何度かぱくぱくさせて、漸く声が出るようになった。

「・・・その、格好、は?」
「え?うん、最終決戦の防具だけど・・・?」
「防具なのか!!!!!!!!!?」

あたしは立ち上がって集会エリア中に響く大声を出していた。
ぎょっとしたハンター達がこちらに注目する。集会エリアの受付嬢さえ手を止めている。
が、それどころではない。

頭に掲げるはクリスタルのティアラ。
頭上から背中へのヴェール。
首から肩にかけて見事な純白のレース。
胸元に輝くエメラルドグリーンの宝石。
腰から流れるフリル。

どうみたって。

「・・・ウエディングドレスじゃないか!!!!」

花嫁1

純白の花嫁がそこに佇んでいた。
余りの美しさに、ほう、と受付嬢が感嘆のため息をついている。
男どもは・・・だめだ、あたしがその反応を見たくない。
皆の視線を集めている、花嫁は。
きょとんと小首を傾げた。耳元のアメジストがきらりと揺れる。

「え?ラヴィーナ装備とヴァルファー装備だよ?」
「装備なのか!?」
「シャルアはんもラヴィーナ一式持っとるやんか」
「あれは、持っているが、あたしには似合わないから重ね着をしてだな・・・!!!」

ああもう!とあたしが混乱している後ろで、オトモアイルーとなったケット・シーとシェルクのオトモアイルー、ロッソがのんびり会話していた。

「あー。シャルアはんがバクっとるわ」
「出たわね、シスコン」
「シャルアはん、シェルクはんのこと目の中に入れても痛くないほど猫かわいがりしてはるからなあー」

うんうん、と勝手に頷いている猫たちを放置する。

「でもお姉ちゃんも、前にケット・シーにそんな恰好させてたよね?」
「シェルクはん!?」

ケット・シーの叫びを無視して、あたしは思い起こす。
ゼノネコ装備一式。確かにあれは見事な花嫁だった。

「いや、あれはあのときのケット・シーの最強装備でな、」
「私もこれが、今の最強装備なんだよ?」
「そ、そうかもしれないが、しかしだな・・・!」

押されているあたしの足元で、また猫たちが雑談している。

「へえ、面白いこと聞いたわね」
「ロッソはん!?聞かなくてええから!」
「スクショないのかしら」
「ない!筈、やけど・・・」

実はあったりする。

シャルアの隣にご注目w

「シェルク、その格好だと余計な、面倒な虫がつく!」
「え?虫?」
「重ね着持ってないのか!?」
「ええと、最初に貰ったウルファくらいかな」
「それを着けろ!!!」
「え?」
「シャルアはーん。無理強いはいくら姉やとしてもあかんでー」
「煩い!!!!」

花嫁2

fin.

後書き。
シェルクが美しかったので、つい。
あれですね、これのシェルクバージョン(笑)。
シャルアの袴姿も大好きですが、シェルクの花嫁も中々の可憐さの破壊力w
あー袴姿もスクショしたかったなー。
いやー楽しいわw