対峙

神羅ビルの屋上。
おぞましい断末魔が響く。
文字通り化け物となり果てた宝条が、今消滅した。

通話を終え、リーブは端末を畳む。
柱に凭れ、ゆっくりと長いため息をつく。

・・・間に合った。

通話の相手は、シスター・レイの管理棟の担当者だった。
ウエポンの出現と同時に冷却するはずが、
宝条のせいで冷却不足のまま再び稼動し、あわや大惨事ー下手をすればミッドガルを巻き込む大爆発となるところだった。
それが今は、完全に出力が停止したとの連絡だった。

ミッドガルは救われたのだ。

神羅ではもう誰も止められなかった宝条と、そしてシスター・レイの暴走。
助けてくれたのは、神羅の敵であるとマークされていたアバランチ一行だった。

リーブは奥の階段と、その先に続くだろう屋上の方角を見上げる。
屋上から、その一行はもうすぐこちらへと降りてくる。
潜んでいる鉄筋の柱の陰でリーブはもう一度短いため息をつく。

アバランチ一行がキャノン砲を止められたということは、
一行を阻もうとしていた幹部、
兵器開発部門のスカーレットと治安維持部門のハイデッガーが敗北したということ。
社長はウエポンの一撃で社長室ごと消えてしまった。
宇宙開発部門のパルマーは・・・文字通り行方不明だ。

となれば、アバランチ一行の敵組織の幹部はリーブただ一人しか残っていないことになる。

・・・まあもう崩壊しているようなものですけど。

端末をスーツの上着に仕舞い、苦笑する。
そして、代わりに護身用に持ち歩いている凶器を取り出す。

一行にとって、自分は神羅のラスボスとなる筈。
ああでも、彼らの目的はセフィロスを止めることだろうからラスボスの前座・・・

やれやれ、と首を振るう。

アバランチが最後に対峙する神羅幹部は、ルーファウス神羅の予定だったろうに。
彼らは消えてしまった。
最後に残ったのがこんな冴えない中年幹部とは。

・・・なんとまあ、倒しがいのない前座だろう。

リーブははっと身を堅くする。
屋上から下りてくる複数の足音。
右手に握った鋼鉄の凶器が、ずしりと重みを増す。
・・・間違いない。
アバランチ一行だろう。

宝条との戦闘。
そこから降りてくるルートはただ一つで、またその死角もリーブは誰よりも知っていた。
この街を創ったのは、リーブだったから。

*   *

長い階段を降りてくる足音が近づき、やがて全員が無事に降り立つ。
宝条との激しい戦闘を終えたためか、彼らの足取りは少し重そうであった。

そんな彼らの先頭を行く人物との距離を測る。
彼が自分の潜む柱へと差し掛かる直前。
リーブは素早く柱の陰から飛び出し、金髪の青年のこめかみへと銃口を突きつける。
卑怯だとわかっていたが、この際そんなことにかまっていられない。

「・・・動かないでください」
「・・・」

青年は立ち止まる。黙して語らない。
傍らの自分など、まるで問題ないかのように、その佇まいに変化はなかった。

「クラウド!」

女性の鋭い声が割り込む。
リーブは拳銃を青年に向けたまま、声の主を探す。
青年の後からやってきたのは、長い黒髪の美しい女性。

・・・青年の大切な人だろうか。

彼女はすぐに駆け寄ろうとしたが、後方にいたはずの赤いマントの男が動く。
一瞬にして彼女の前に腕を上げ、行く手を遮った。
彼女は信じられない、といった風に叫ぶ。

「ヴィンセント!?」
「・・・必要ない」

短い言葉が何を指しているのか、リーブにはわからない。
しかし、彼女は男と青年、そしてリーブを見回し、
一つ頷いて大人しく身を引いた。

そのやり取りに、全く場違いなことだが
リーブは素直に羨ましい、と思った。
必要最低限の言葉で、意志を伝え合える間柄。
互いに信頼できる仲間だということ。
男が制したせいか、残りのメンバーもその場に立ち止まる。

そして。

「・・・?」

リーブは違和感に気付く。
彼らのリーダーに凶器を向けているというのに。
あと数ミリ、この人差し指を動かせば確実に頭を撃ち抜くというのに。

残りのメンバーはただじっとリーブをみているだけだった。
その表情は、リーブが現れた直後は緊迫していたものの、
静かな、どちらかというと見守るようなものへと変化していた。

怪訝そうなリーブの気配を読みとったのか。
狙われているはずの彼が、初めて口を開いた。

「・・・あんたは?」

「え?ああ・・・
神羅カンパニー、都市開発部門統括の、リーブ・トゥエスティと申します。
恐らく、最後の神羅幹部でしょうね」

思わず苦笑する。
彼らの予想外の反応に、一番に告げるべきこと・・・神羅幹部だと明かすことを
すっかり忘れていたことに気づいた。
それが彼に促されてから名乗ることになるとは。

それにしても、と内心首を傾げる。
命の危機に晒されているのに、青年のこの落ち着きようは何だろう?

「そうか」

・・・それだけ?
短い返答に、リーブは思わず脱力しそうになった。
切り替えるように、拳銃を構え直す。

「・・・クラウド・ストライフ、ですね?」
「ああ」
「・・・ご自分の今の状況を弁えてください」

銃を突きつけられていること。
すなわち、この青年の命はリーブに握られているのだということを。

「それは、あんたの方じゃないのか?」
「え?」

思わず気が削がれる。
その隙を見逃さず、彼はくるりと拳銃を構える自分へと向き直った。
魔晄を帯びた不思議な青い双眸がリーブを貫く。

「あんたの狙いはなんだ?」
「・・・え?」

リーブはきょとんと聞き返す。
拳銃で狙っているというのに。
命を狙う以外になにがあるのか?

「どういう・・・」
「やめておけ」
「・・・は?」

青年からではなく、残りのメンバーからの声。
先ほど女性を止めた赤マントの男が静かにリーブを見ていた。

「そうそう。そんな物騒なもんしまっちゃってよ」

男の隣で、活発そうな少女がにやっと笑った。
緊張感などまるでない様子に、銃を突きつけている凶悪犯の筈のリーブは困惑する。

「あ、あの・・・?」

戸惑うリーブへと、銃を突きつけられている青年はさらりと告げた。

「あんたは俺を撃つ気がまるでない」
「・・・断言されましても・・・」

リーブは苦笑い。
現にこうして構えているんですけど。

「だっはあ。あんた、殺気がまるでねえんだよなあ」

分かってねえ、と色黒の大男ががっくりと肩を落とす。

「殺気・・・?」

リーブは思わず呟く。
一番後ろで槍を背負った男が、ぽりぽりと頭を掻いた。

「おめえよう、まともに戦ったことねえだろ?」
「・・・」

それは流石に否定できなかった。
何せ、都市開発部門は戦闘に関わる可能性が極めて低い。
今だって、正直銃を構え続けるのが少々しんどくなってきた。
・・・我ながら情けない。

最初に青年の名を呼んだ女性がすっと一歩前に出る。

「だから、教えてほしいの」

焦燥も憎悪もない、綺麗な眼差しにリーブは首を傾げる。

「・・・教える・・・?」
「おじさんが、どうして一人でオイラたちの前に現れたのか、だよね?」

女性の後ろで、のんびりとした声が補足してくれたが。
赤い獣の指摘に、リーブの思考が止まった。

「・・・え?」

ただ一人、真正面からリーブに向き合っている青年が
淡々と続ける。

「俺を殺すつもりなら、少なくとも包囲網くらいは考えるはずだ。なのに、あんたはどうみても一人だ。・・・先回りができたにも関わらず、だ」

視界の端で、赤いマントの男が頷く。

「・・・こちらは7人。いくら都市開発部門とはいえ、それくらいの考えの及ばない者が神羅幹部とは思えん」

彼の赤い双眸が、鋭く光る。

「・・・死ぬつもりか?」
「・・・」

赤マントの男の言葉に、リーブは沈黙する。

死にたかった、わけではない。
ただ、最後の幹部として、このまま彼らをいかせてはいけないと思っただけだった。
その結果、スカーレット達と同じ末路を辿ることになるとしても。

リーブは僅かに苦笑した。

・・・確かに、自殺行為かもしれませんね。

でも、もう後には引けない。
すっと目を細める。

「・・・私は本気です」

青年はあっさりと頷く。

「そうだな。あんたの覚悟は、今十分にみせてもらっている」
「でもさあ。おっちゃんって、なんかこう、神羅らしくないんだよね」
「神羅らしくない・・・?」

少女の全く恐れる様子のない言葉に思わず反応してしまった。
そもそも、彼らの指す神羅らしい、とはどういう意味だろうか?

「そうね。
少なくとも私たち相手に、正々堂々一人で現れたのは貴方くらいよ?」

長い黒髪の女性がにっこりと笑う。
その敵意のまるでない態度に、リーブはおかしい、と眉を顰める。

「・・・」

彼女が大切に想っているだろう青年に
今も銃を突きつけているというのに、
何故彼女は自分へと笑みを向けるのか。

そして、
先回りをして死角から銃を突きつけた男の何処が正々堂々だろうか。
返答に詰まるリーブへ、槍使いの男がだるそうに口を挟む。

「だよなあ。大体おめえ、わざわざ『最後の神羅幹部』っていってたじゃねえか」
「事実です」

リーブはぴしゃりと返す。
自分のその苛立った反応に内心驚く。
リーブの覚悟を理解しているのに、なのに彼らには緊張感が欠けている。
いや、リーブには分からない何かを分かっているような。
槍使いはからかうような態度に変わっていた。

「そーんなこと言った幹部、他にいねえぞ?」
「・・・どういう・・・」

心底分からないリーブの内心が分かるのか。
槍使いはにかっと笑う。

「他のやつはみんな、俺が、とか私が、とか完全に主語が自分なんだよなあ」
「・・・?」
「あいつらは、だーれも神羅のことなんか考えてなかったぜ?
自分の立場を守るか、せいぜい部下をいびるくらいだったしよ」

リーブはガハハ、とキャハハとふんぞり返っていた
嘗ての幹部達を思い返す。
彼らが何を考えていたのか。
あの頃も分からず、今となってはもう分かる術もない。
ただ、神羅のために身を粉にして働くタイプではなかったと断言できる。

「だが、あんたは違う」

青年の瞳が、意志を秘めて強く光った。

「『最後の神羅幹部』として・・・
つまり、あんたは神羅という会社の幹部である責任を果たそうとしている」
「そんな、大げさなことでは・・・」

リーブは慌てて口を挟む。
責任を果たすとかではない。
ただ、曲がりなりなりにも自分は幹部だったから。

片腕が機関銃の大男が、あんたなあ、と口を開く。

「わざわざでてこなくても、他の幹部がいねえんだから
こっそり隠れて、後で神羅を牛耳ればいいんじゃねえか」
「・・・え?」

ぽかん、と大男を呆然と見返す。

「あ。その顔。ぜんっぜん思いつかなかったんでしょ?」

少女がにやにやと笑っている。

「・・・そ、そんなことは・・・」
「オイラたちとここまでちゃんと会話が成立したのも、おじさんが初めてだよ」

否定する前に赤い獣に畳みかけられ、
リーブはそこまで彼らはひどかったのだろうかと
うっかり沈黙を保つ。

青年はあっさりと言ってのけた。

「だから、あんたとは戦う理由がない」
「・・・はい?」
「話し合いで解決できるわ」

リーブが反応できないうちに、黒髪の女性はあっさりと同意してしまった。

「だから、その銃を降ろしてくれ」

淡々と告げる青年の表情は変わらない。
銃を持つリーブへ警戒心すらまるでなかった。

「・・・」

大きくため息を一つ。
リーブは銃を降ろし、胸ポケットにしまう。
それでもいっておくべきことがある。

「・・・魔晄炉を設計したのは私です」
「ああ、そうらしいな」

軽く青年は答えた。
リーブは静かに問いかける。

「私を倒さないのですか?」
「・・・は?」

青年のポーカーフェイスが僅かに崩れて。
リーブは力のない笑みを浮かべる。

「・・・あの、そんなに驚かれても困りますが・・・」

敵と認識すらできないほど、自分は弱そうに見えるのだろうか。
・・・確かに力はありませんけど、それはそれで問題ですよね・・・。
リーブは気持ちを切り替えるように、首を振るう。

「ですから、
星を守るために、あなた方は戦っているのでしょう?
星の寿命を縮めた張本人を放っておくのですか?」
「・・・それで」
「え?」
「あんたを倒したとして、何か変わるのか?」

青年の表情はクールなまま。
静かな口調は責めるわけではなく、真実を見出そうとしているようだった。
リーブはくすりと笑う。

「少なくとも神羅のラスボスは倒せますよ?」

青年は僅かに眉を寄せる。

「誰のことだ?」
「私ですが」
「何処が敵なんだ?」

大真面目に返されてしまった。

「・・・ええと?」
「あんたを倒したところで、意味がない」
「意味がないって・・・」

さくっと言い切られてリーブは絶句する。
・・・一応神羅幹部なんですけど。
この青年は忘れているのではないか、と疑いたくなる。

「俺たちは無意味な殺しをする気はない。
まして、一番まともそうなあんたにここで会えてよかったかもしれない」
「・・・は・・・?」

リーブは青年の話についていけなかった。

「あんたは俺たちを倒す気がない。
俺たちもあんたを倒す気はない。
だから、あんたには協力してほしい」

思わぬ展開に、リーブの反応が遅れた。

「・・・え?協力、ですか?」

青年は端的に告げた。

「メテオが迫ってきている」
「・・・ええ」

真剣な顔で、リーブも頷く。
青年は言い放った。

「ここの人たちを、あんたなら守れるんじゃないか?」
「・・・え??」

リーブの動きが止まる。
大男がそりゃあいい、と頷く。

「都市開発の統括なんだろ?
じゃあ町のことも全部わかってるんじゃねえか?」
「そうよ。あなたなら、何処が安全かもわかるんでしょ?」
「そ、それは・・・」

リーブは突然の展開に
何と答えていいものか分からなくなっていた。

彼らのは指摘は正しかった。
リーブはミッドガルの開発責任者であり、その構造も誰よりも熟知している。
避難経路を弾き出すことも、危険区域を封鎖することも
可能だけれど。

しかし。
話の流れがおかしい。
彼らは神羅を敵視していたのではないか?
だからこそ最後の幹部として殉じようとしていたはずなのに。

「おじさん、よろしくね」

リーブは自分の足下から聞こえた声に、
ぎょっと顔を向ける。
すぐ側に赤い獣が大人しそうに座り込んでいた。
残りのメンバーも、
いつの間にかリーブとクラウドのすぐ側まで集まってきていて。

リーブはおろおろと彼らを見回す。

「・・・あ、あの、私は敵なんですが・・・」
「敵、ねえ?」

小首を傾げるのは、黒髪の女性。
その隣で、槍使いの男がそーいや、と口を挟む。

「・・・都市開発部門統括といやあ、
そりゃあうだつが上がらねえって有名だけどよ。
それは、主にソルジャー部門やら、治安維持部門やら、そういった血気盛んなやつらが言い触らしてた評判でよ。
その陰で伝わってた話を思い出したぜ」
「・・・?」
「シド、どんな話?」
「誠実実直。
いっつもまともな進言を社長にしては田舎に飛ばされて、
でもまた戻さざるを得ない成果をだして戻ってくる。
だから、都市開発部門は、
他の部門じゃああり得ないほど、信頼関係が強いってな」

リーブは首を傾げた。
そうだろうか?
辺境に飛ばされたのは・・・残念ながら事実だけど。

「その話は、どうやら本当らしいな」
「え??」
「んじゃ、改めて自己紹介しよっか」
「はい??」

全く彼らのペースについていけないリーブだが、
金髪の青年はあっさりと名乗った。

「クラウドだ」
「え?」

クラウドと名乗った青年の隣で、黒髪の女性がにっこりと微笑む。

「ティファ・ロックハートよ」
「あ、あの・・・」

機関銃の片腕を掲げ、大男が吼える。

「バレット・ウォーレスだ!!!」
「え、ええ・・・」

確かアバランチのリーダーでしたよね、と
口を挟む前に、元気いっぱいの少女が名乗りを上げた。

「ユフィ・キサラギ!」
「ああ・・・ゴドー頭領の娘さんですよね」

だから忍の格好でしたか、とリーブは一人納得する。
途端に少女がうげっと厭そうな顔に変わる。

「げ。親父のこと知ってんの?」
「一応神羅幹部ですし・・・」
「一応かよ!」

バレットがげらげらと笑う。
リーブの足下で、穏やかな声が聞こえた。

「おいら、ナナキ」
「聖獣、ですよね」
「おいらのことも知ってるんだ!」
「コスモキャニオンとは・・・まあ、長いつきあいでしたし」

リーブは言葉を濁す。
魔こうの使用に関して
どれだけコスモキャニオンの学者達と対立したことか。
ただ、幸いなことに彼らと人間関係でこじれることは
不思議となかった。
ただ、悲しそうに忠告をされたけれど。

ナナキと名乗った聖獣の隣で、槍使いがひょいと割り込む。

「おめえ、何気に顔広くねえか?」
「どうでしょう・・・?」
「シド・ハイウインドだ」
「え、ええ宇宙開発部門のエースパイロットですよね」
「俺様のことも知ってんのか」
「ハイウインド号を知らないものは神羅ではいませんよ」
「なんか照れるぜ」

残りのメンバーの視線が、最後の一人に集まる。
彼らを遠巻きにみていた赤マントの男は、
ため息一つ、口を開く。

「・・・ヴィンセント・ヴァレンタイン」
「ヴェルドさんの親友、ですね」
「・・・ヴェルドまで知っているのか」
「ヴェルドさんとは古いつきあいなんですよ」
「・・・成程」

終始無表情のヴィンセントと名乗った男が
少し穏やかになったように見えた。
・・・親友と言っていたのは本当だったようですね。
ヴェルドさんも喜ぶだろうな、と思っていたら
ユフィと名乗ったキサラギ家の少女が拳を振りあげた。

「んじゃ、そういうことで!」
「・・・何が、ですか?」

こてん、と首を傾げると、
目の前の青年が重々しく頷いた。

「リーブ。あんたも俺たちの仲間だ」

リーブは暫し固まった。
そして、恐る恐る尋ねる。

「・・・あの。今、なんと言いました?」
「だからおめえも仲間だってよ」

くくく、と笑っているのは槍使い、もとい、
シド・ハイウィンドである。

「ちょ、ちょっとおかしいですよ!!!」

リーブは驚愕した。
自分はさっき銃を突きつけていた男であって、
その前に、神羅の幹部で・・・

大混乱のリーブを余所に、
ティファと名乗った女性は笑顔で宣う。

「リーブなら、神羅のその後も大丈夫よね」
「あ、あの、勝手に決めないでくださいよ!」
「なんで?」

赤い獣、ナナキが楽しそうにリーブに問いかける。

「いや、なんでって・・・!」
「・・・決定事項だ」
「ええええ!???」

fin.