護衛ハンター

腕自慢のハンターが集まる街、ドンドルマ。
その南に位置する狂竜ウイルス研究所兼アイテム売り場に
大剣を背負った筋肉ムキムキの顔見知りハンターがやってきた。
売り子のサラの隣でアイテムを補充していたシャルアの格好に驚き、大袈裟に首を傾げた。

「あれえ?シャルア所長、どーしたんですその格好。まるでハンターっすよ?」
「おお、レギオンか。
頼まれてたのは生命の大粉塵だったな」
「ありがとうございます!!!
で、その格好は?」

品物をサラから受け取り、改めてレギオンは所長の姿を確認する。
科学者であるシャルアはいつもならば白衣を羽織っているのだが。
今はブレイブシリーズのガンナー仕様の装備を身に着けていた。

「ああ。あんたの指摘の通りだ。
このほどハンターになった。
アイテムの新たな調合を考える上でも、
手に入れるまでの経緯を知った方がいいかと思ってな」

理由に納得したレギオンは、おおっ!と感心してぱちぱちと拍手した。

「さっすが研究熱心ですねー。ヘビィボウガンですよね?それ」
「ああ。まだボーンシューター改だから初期の初期だな」

ヘビィボウガン、ボーンシューター改。攻撃力150。
初期装備ボーンシューターを装備強化したもの。

「新米ハンターですねー。いいじゃないですか」
「あんたは既にHR(ハンターランク)300越えだったな」

シャルアは繁々と目の前のいかにもハンターらしい体格のレギオンを眺めた。
背にある大剣はGブレイドという。龍属性・攻撃力1584。
Gの紋章を持つ刀身。超重量で強引に斬るらしい。

レギオンはシャルアの視線を受けて、頭をぽりぽりと掻いた。

「いやー。最近護衛の方が完全に板に付いてきたんですけどね」

護衛。
レギオンは戦闘街ドンドルマの長、リーブ町長の護衛を勤めている。
が、リーブ本人には相変わらず護衛などいりません!と言われ続けているらしい。
シャルアは町長の食えない笑みを思い出し、思わず唸った。

「・・・あれの護衛か。大変だな」
「大変ですよー。あの人放っておくと、ハンターでもないのに勝手に探索に行こうとするし!
各村の連絡が、とかいって商人の荷台に乗せてもらう交渉とかしてるし!」
「・・・護衛というより、監視じゃないか」
「まあ・・・。でもあいつにくっついていくと
貴重なアイテムとかモンスターとかに出会いやすいんですよね・・・。
気づいたらHR100越えてましたし」
「運か?」
「それもありそうですけど・・・。多分、あいつ観察眼が飛び抜けてるから・・・」
「そーいや、リーブはんのお供してたら矢鱈とロイヤルカブトやらがとれたりするけどなあ」

ひょっこり奥から顔だけ出したケット・シーに、シャルアは断言した。

「今はあたしの筆頭オトモだろ」
「え?ケット・シー、シャルア所長の・・・オトモアイルーしてるのか?」
「う・・・。そやけど・・・」

ケット・シーはふいっと気まずそうに体ごと背けた。
そのはずみで、全身がドングリ衣装であることもレギオンにばれてしまう。
派手に爆笑したレギオンは、心の底から叫んだ。

「お前、似合いすぎじゃねーか!!」
「ううっ・・・!!!ボクかて、ボクかてHR300越えのハンターの筈やのに・・・」

fin.