追跡3

   *   *

『局長!コスモキャニオンの住民は皆コスモキャンドル前に集まりました!』
『いっちょ命令頼むぜ、局長さんよ!』

シエラ号は世界最速の名の通り、あっという間にコスモキャニオン上空に到着した。同時にコスモキャニオンからの隊員と、シエラ号艦長からタイミングを見計らったかのように通信が入る。

「ではマリンさん、命令を」

ショコラに代わって壇上に上がった少女がうん、と頷く。

「局長マリン並びにリーブ・トゥエスティの名において・・・全住民の安否を確認の上、数回に分けてゴンガガに避難させます。まずは老人、子供、女性を優先的に乗船出来るようにしてください」
『おうよ!任せとけ!』
『了解しました!』

コスモキャニオン内にはシエラ号を着陸させるほどの広い場所はなく、かといってコスモキャニオン外はモンスターも徘徊しているため、全住民をそちらに移すにも危険がある。
よってシエラ号はコスモキャンドル上空に停止して、梯子から登れる住民には縄梯子を下ろし、力のない子供や老人は隊員たちが抱え、ロープで引き上げていく。

避難先のゴンガガはコスモキャニオンから最も近い村である。村の中にコスモキャニオン住人全てを移住させることは厳しいが、ゴンガガ周辺の広大な森に臨時キャンプを設置しているため、何日かはしのぐことが可能になっている。勿論ゴンガガ住民にも協力を依頼し、受け入れ準備は万端。後は最悪の事態が起こり得る時間までに、少なくとも全員をシエラ号に乗せなければならない。爆破予定時刻まで、残り30分を切っている。ぎりぎり、といったところか。

『第一班、予定人数を収容しました!』
『局長!シエラ号出発の許可を!』
「さあ、デンゼル君。命令を」

マリンの次に壇上に上がった少年は、すうと息を吸い込む。そして、紙面から顔を上げて命じた。

「デンゼル隊員ならびに局長リーブ・トゥエスティの名において、シエラ出発を許可します!」
『はっ!!』
『おうよ!』

   *   *

ボクは暗い洞窟で腕組みして序でに胡坐をかいていた。
目の前には解体途中で止まっている爆弾。残されたコードは3本。一本が解除用、2本が起爆用。
WROの優秀な爆弾解体班でも見分けがつかない。残り時間は15分を切っている。
むむ、と考え込んで、ふと思いついた。

「・・・そや」
『どうしました?』

ボクでもWRO隊員でも分からない。けど、一人だけ、分かる可能性がある人物がいる。

「リーブはん、ちょっくら占ってみてくれへんか?」
『・・・あ。その手がありましたね』

うっかり忘れていましたよ、と主が頷く。
うちのマスターは「本業は建築士です」と常日頃から言い張っているが、占いについてもかなりの的中率を誇る。爆弾の専門家が分からないことでも占いならば解除用の導線を見分けることができる・・・かもしれない。
こちらからは見えないが屹度唐突にトランプでも取り出して、子供たちの前で占いを披露しているのだろう。

ともあれ、今自分に出来ることはないので暫し待つことにした。
残り時間10分か。と、デジタル表示を読んでいたら、リーブの声が届いた。

『・・・これは・・・』
「なんやねん」

占いの結果が出たにしては、やけに煮え切らない主の声。ああ、またしてもろくでもない結果に違いない。
ふう、とリーブがため息をついた。

『・・・困りましたね、ケット・シー』
「分からんかったんか?」
『いえ、分かったと言えばわかったわけですが・・・』
「ええい、言葉遊びはいらんから、さっさと結論を言わんかい!」

落ち着いて聞いてくださいね、とマスターがはやけに物々しく前置きをした。
そして、淡々と告げた。

『・・・3本とも、起爆用です』

時が止まった。

「・・・なんやて?」

頭部に響くマスターの言葉が、瞬時に理解出来た筈なのに意味が分からない。
3本とも起爆用、解除できるコードは始めから存在していない。とは、つまり。

「・・・解体できへん爆弾やなんて聞いてへんでーーーーー!!!!」

ボクは取り敢えず叫んだ。そんな理不尽な爆弾があってたまるか!

『・・・ええ、私も聞いてないですよ』
「そないな爆弾ありか!?」
『占いの結果が間違いでなければ、ですが・・・』

落ち込んだ主の感情がボクに流れ込んでくるが、それどころじゃない。
マスターの占いはほぼ予知に近い。それはこれまでの結果が示している。

「ああもう、あんさんの占い疑ってもしゃあない!つまり可能性としてはこうやな!
壱、あんさんの占いが合っていて、どれを切ってもどかん!
弐、あんさんの占いが間違っていて、どれかは正解やけど間違ったコード切ったらどかん!
参、切らずに放っておいてどかん!
肆、あんさんの占いが間違っていて、奇跡的に解除用のコードがあって切ったら解除!
・・・なんやそりゃ、ほぼアウトやんかー!!!!」

ボクの絶叫が洞窟中にびりびりと響き渡った。

   *   *

シエラ号をゴンガガへ向かうよう指示してもらった後、私は子供たちを連れて元の会議室に帰ってきた。子供たちは最初の席に戻ってもらい、私は改めて壇上に立つ。これが最後の挨拶だ。マイクの前で、すうと息を吸い込む。

「・・・それでは一日WRO隊員体験・・・ふふ、デンゼル君たちは局長体験もしていただきましたが、これで終了とさせていただきます。楽しんでいただけましたか?屋上に帰りの飛空艇が到着しておりますので、気を付けて帰ってくださいね?では、皆さんご参加ありがとうございました」
「「「ありがとうございましたーー!!!」」」

子供たちの元気な声が会議室に響いて、こちらは無事終了。子供たちは両親に連れられ、WRO隊員の誘導に従って会議室を出ていく。全員が会議室を出たのを確認した私は、先程の司令室に向かいつつ、ケット・シーとの通信を継続していた。

『んー今からリモコン探しに行っても間に合わへんやろうな』
『そうですね・・・。占ったところで見たこともないリモコンを未知の洞窟内で特定するのは難しいでしょうし・・・。それに、そのリモコンもフェイクかもしれませんね』
『・・・フェイク?んーつまり停止ボタンやーと思て押したらどかん!ってことか』
『はい。何せ本体に解除のコードがないくらいですからね。リモコンも正しい機能をするか疑わしいですから』
『誰やそんな迷惑なもん創ったやつはー!!!』
『彼らを取り調べするしかないでしょうね』
『厄介やなー』
『ええ・・・』

残されたコードは全て起爆用の爆弾の時点で、悪意ある爆発物と決定してしまった。まあ、占いの結果のため100%確定ではないが。リモコンすら我々を欺く可能性は高いだろう。兎も角子供たちが騒がなくてよかったと安堵した時に、ふと思い出す。

『・・・そういえば』
『なんやねん』
『つい先ほど子供たちは解散させたのですが・・・』
『そっちは無事終わったんやな』
『はい。ただ、解散後のデンゼル君がちらっとこちらを振り返ったんですよね・・・』
『何や文句でもいったんか?』
『いえ、何も言わなかったのですが・・・』

最後に部屋を出たデンゼルは一度振り返って、何か言いたげに見えた。だが、私がにっこり笑って見せると少し不満そうにしながらもティファ達と帰っていった。

『・・・気付いていたのかも、しれませんね』
『あー。かもしれへんなあ。そやけど、』

デンゼルはあの年にしては賢い。先程の司令室での遣り取りが訓練でないことを感づいたのかもしれない。だが、感づいたとしても、彼に出来ることはない。

『・・・ここから先は、私たちの仕事ですしね』
『ボクは最初から働いとったけど?』
『ははは。言葉の綾ですよ。それで・・・』

司令室の扉を解除する。

『・・・あと何分ですか、ケット』

   *   *

相変わらず暗闇の洞窟。爆弾を睨みつけていたボクは、マスターの言葉ににやりと笑った。

「残り時間は5分てとこやな」

ちらりとデジタル表示を視界に映せば、リーブにも見えている筈。それがボクらだけの関係。
少し沈黙の後、遠慮がちな主の声が届く。

『・・・何か、私に出来ることは・・・』
「リーブはんはコスモキャニオンの人らを避難させること。これだけや。で、みんな避難出来たんか?」
『ゴンガガに到着した住民は半数ですが、コスモキャニオンから飛空艇への搭乗という意味であれば99%ですね』
「・・・なんやその中途半端に100%やないのは。誰か逃げとんのか?爆弾持ち込んだ奴らか?」
『いえ・・・。”彼”が最後に見回りをしたいので、皆には先に出発してほしいと頼まれました。彼は彼しか使えない避難場所があるそうです』
「あー。成程なあ」

ボクはコスモキャニオンに最もゆかりのある仲間を思い描く。コスモキャニオンに合流して二人?して酒場で話したのは今日のことだというのに、随分と昔のように思えるのは・・・今のボクが逢える可能性がそう高くないからやろか。
ちょっとばかりしんみりしかけて、ぶんぶんと頭を振るう。

『・・・ケット』
「何や?」
『・・・逃げませんか?』

主の言葉に、ちょっとだけここから全力疾走で逃走するボクをイメージして、ぽりぽりと頬を掻く。
今からボクのスピードでこの凸凹極まる洞窟を・・・例え優秀なCPUをフル活動して最短コースを探してダッシュしたところで大した距離は稼げない。それに。

「まだ、爆発すると決まったわけやない。やろ?」
『ですが・・・』
「どっか切ったら止まる可能性も0やないんやし」
『ケット・シー、』
「やけど、もしなんや起こった場合は・・仲間には内緒にしといてくれへんか?後は新しいボクがうまいことやるやろ。・・・このボクのことは、リーブはんが憶えといてくれたらええ」

畳みかけるように、淡々とボクは主に伝えた。いつもながら変な負い目を感じないように。
でも、ああ、分かってしまう。
ボクはリーブはんの感情で動く分身。
リーブはんの今の表情は見えないけれど、心に流れ込んでくるのは。

『・・・すみません・・・』

小さな謝罪の言葉とボクの心でも受け止めきれないほどの後悔と悲しみの波。
前のボク達の記憶がシンクロする。あれは確か、古代種の神殿。深層の魔晄炉。シエラ号に侵入したネロとの戦闘。
ボクらは死んでも、リーブが生きていれば新しいボクに生まれ変わることが出来る。そう、何度もボクらはリーブはんにゆっとるのに。

それでも、いつもリーブは泣いていた。

もう一度頭を振るう。

残り1分を切った。
ボクは適当に一本のコードを摘まむ。

「おおきに、リーブはん」

・・・さようなら。

   *   *

司令室とは別に映る視界の中、ケット・シーの小さな手がコードを摘まんでいる。そして鋏を入れようとしている。それが、どんな結果を齎すのか。

『ケット・シー!!!』

せめてこちらから遠隔操作しようとしたが、リンクを拒絶された。

『リンクを切らないでください!ケット!!!聞こえているんでしょう!?』

ケット・シーからの返事がない。

異能力、インスパイア。

リーブ自身把握しきれない能力だが、ある条件を満たした無機物に命を吹き込む能力。
いざとなればリーブがリンクを繋げることで文字通り遠隔操作することが出来る。ケット・シーが何らかのダメージを負った場合、リンクしないときよりもリーブ本体へ大きな反動が来ることになるが・・・そのリンクもいつの間にかケット・シー側で承認がなければ繋げなくなっていた。

『ケット!!!』

今からリーブがケット・シーのところに駆けつけることはできない。間に合わない。そもそもリーブにはWRO局長として隊員たちを指揮する責務がある。現場に行くことは出来ない。

ならばせめて、遠隔操作に切り替え、ダメージだけでも共有していたかったのに。

ケット・シーからの返信がないまま、鋏の刃がコードに迫っていく。

占いが外れてくれていればいいとこれほど思ったことはない。解除のコードがない爆弾など普通はない。そして、彼が選んだコードが正解であればいい。合っていればいいのだ。そうすればケット・シーは生き残り、後は洞窟が崩れることないように脱出して、WROで洞窟を隅々まで調査して、安全性が確保できればコスモキャニオンの住民に戻ってもらう。危険個所があれば補強工事なり行えばいい。そう、最後の爆弾が無事に解体できれば。

刃がコードに食い込んだ。

ああ、どちらにせよ、これで終わってしまう。

司令室のモニタには部下たちが写り、ゴンガガに到着したコスモキャニオンの人たちの一時避難場所への誘導状況が報告され、WRO局長として表情に出さぬように答えるしかない。別のモニタにはシドが残りの住民の輸送を確認してくれている。だから。

せめてもの抵抗に、一瞬瞳を閉じる。
このときだけは、ケット・シーの挙動だけを見守っていたかった。

最期かもしれないと。

そして、次の瞬間、はっと目を開く。

「・・・え?」

今何が起こったのか分からない。

もう一つの視界。
確かに映っていた爆弾が一瞬で消えていた。

   *   *

人は驚きすぎると固まるという。
ボクの場合、ロボットやから当てはまらんやろと思っていたのに、今はただ玩具の両手をぽかーんと眺めているばかり。

映像はばっちり残っていた。
ボクのカメラアイによると、コードを切ろうとしたとき、目の前を何か大きなものが瞬時に横切って、再びカメラアイに映ったのは何も持っていない両手だったというだけ。そして遅れて随分後方からくぐもった爆音が記録されている。

予想は出来る。ボクを横切った何者かが爆弾を持ち去り、別の場所で爆破させた。その御蔭でボクは助かったわけやけど。
映像を解析してみたものの、余りにも高速だったうえに暗闇の暗視野モードと相まって殆ど解像度は望めなかった。つまり

「・・・なんや起こったけどよう分からん」

だった。

『・・・ケット・シー』
「あー。リーブはん」
『無事、ですね?』
「無事らしいわあ。で。今のなんやわかるか?」
『推測は出来ますが・・・すぐにわかるでしょうね』
「へ?」

主の思わせぶりの言葉に首を傾げる間もなく、後方からこちらへ向かってくる音。足音?
ばっと振り返れば、暗視野モードも必要ないくらい彼の一部が辺りを照らしていた。

尻尾に宿る聖なる炎。
精悍なオレンジの毛並みを持つ、最速の彼。
その彼は頭をちょこんと傾げた。

「ケット・シー、大丈夫ー?」
「あ・・・」

考えたらわかることだった。
この整備もされていない天然の洞窟内で、あれほどの速度で移動できるものなど彼しかいない。そしてコスモキャニオンの聖獣はとても仲間思いだということ。例えコスモキャニオンの住民全てが避難できたとしても、その地下に取り残された仲間がいて放っておくような性格ではないこと。

「ナナキはん・・・。おおきに。この通り、問題あらへんで!」

はあーと安堵の息をついたふりをして、ナナキに近寄る。ぽんぽんと彼の首のあたりを撫でると、ナナキが気持ちよさそうに目を細めた。

「もう。二人で捜査始めたのに、いざとなったらオイラのこと忘れてるなんて酷いや」
「別に忘れてたんやないで?でもナナキはんには地上でコスモキャニオンの人らを守る使命があるやろし・・・」
「そりゃオイラはここを守ってるけどさ、ケットを見捨てていくわけないじゃん」
「そやな。うん、ほんまに助かったわあ。・・・んであの爆弾はどないしたんや?」
「ギ族の洞窟の中にすっごく水の深ーい場所があるから、そこに投げたよ?」
「・・・周辺が崩れたり、せえへんかったんか?」
「え?オイラそこまで見てなかったけど、多分大丈夫!」

えへん、と根拠があるんだかないんだか自信ありそうで適当なナナキの答えにボクはがくっと力が抜けた。爆弾の解体という無茶苦茶緊張する作業をしていた反動だろうか。

「多分て。まあええか。んじゃさっさとボクらも洞窟でよか」
「そうだね。じゃあオイラの背中に乗って!」
「おおきに、んじゃ出発やで!」

   *   *

もう一つの視界に、コスモキャニオンの見事な夕焼けが映し出された。

『無事おてんとさんの元に戻ったでーーー!!!』
『夕方ですけどね。ナナキにも怪我などはないですね?』
『オイラのこと?怪我なんてないよ?』
『そうですか。間に合ってよかったです』
『ほんまやでー!!!』

ぶんぶんと腕を振り回し、いつも以上に元気いっぱいの分身にほっと胸を撫で下ろす。
ケット・シーはそのままナナキの上に乗せてもらい、コスモキャニオン内部を見て回ってくれたが特に崩壊などの危険個所は見受けられず。

こうして、ナナキの御蔭で、コスモキャニオンの爆弾騒ぎは犠牲者が出ることなく解決した。

何故あの場にナナキが駆けつけられたのかと言えば、ケット・シーと共に洞窟に潜った後住民の避難に協力していたWRO隊員たちがナナキにケット・シーの救出を依頼してくれたからだそうだ。地震で偶然に作られた洞窟は未知であるが、ギ族の洞窟であれば、ナナキ以上に機動力があるものはなく、ナナキ以上にその内部構造を知る者はいない。おまけにナナキの嗅覚であればケット・シーの居場所もすぐに辿れたそうである。全く。ナナキには頭が上がらない。

コスモキャニオンからゴンガガに避難している住民たちには、一週間ほどとどまってもらい、その間に洞窟内部とコスモキャニオンの調査を実施する予定になっている。程なく避難も解除されて戻ることが出来る見込みではあるが。洞窟は入り口を厳重に施錠した上で、管理についてはコスモキャニオンの長老たちと協議することになった。勿論、その場ではコスモキャニオンが保有する貴重な文献などの管理についても納得がいくまで説教・・・もとい、究明していく所存である。・・・何故か長老たちの顔が引き攣っていたが。シェルクの協力があれば数日で完了することだろう。

そして今回の騒ぎの元凶については。

取り調べにより、実行犯たちの目的は矢張り偶然発見した洞窟で見つけたアダマンタイトと判明した。これを大量に発掘すれば大儲けできると意気込み、そこが何処の土地であるかなどまるで考慮せずに爆破物を仕掛けたらしい。爆破物もエッジの裏通りで安価で売っていた出どころが怪しすぎるものであり。こちらは目下調査中である。

翌日の夜、私は実行犯2人組と共にとある場所に飛んでいた。
特徴的な山小屋をノックする。中から女性の声が漏れた。

「はい、誰よこんな時間に・・・」

ぶつぶつ文句を言いながら扉を開けてくれた彼女は、外にいる人物を認めた瞬間、目にも止まらぬスピードで扉を閉めた。手錠をかけられた実行犯たちが目をぱちくりさせる。

「・・・あの・・・?」
「おやおや」
「局長、あんた何やったんです?」

私の後ろに勝手についてきたレギオン(本人は護衛だと主張しているが無視する)が呆れ顔で私を見る。私は腕を組んで思い返した後、朗らかに笑った。

「特に覚えはないですが」
「「「嘘つけ」」」

レギオンと実行犯たちと実行犯の監視をしている看守たちの声がはもった。どいういうことでしょうね?
ともあれここで突っ立っていても話は進まない。

「さてさて。もう一度ノックしますか」
「懲りろよ」

レギオンの突込みを無視して、ノックし続けること数分。
無視することに耐えられなくなったらしい。観念したように扉が開いた。

「・・・何よ、今度は何なのよ・・・」

げっそりしたような作業着姿の女性は、ロッソ。元DGSであったがオメガ戦役の後、とある事件でこの山小屋に就職し、今や各地の貴重な植物を育て上げる植物学者の一人となっている。

「ええ、この二人を貴女の手伝いとしてつけようと思いまして」
「は?手伝いなんていらないし、聞いてないわ」
「カールさんとは話をつけているのですが」
「聞いてないわよ!!!勝手に話をつけるんじゃないわよ!!!」
「と、反対されることが分かっていたので上司に話を通したわけですが」
「あんたという男は・・・!!!」

ロッソが怒鳴りつけようとしたとき、筋肉むきむきの初老の男が顔を出した。山小屋の主でロッソの上司にあたるカールである。

「お。待ってたぜ、リーブさんよ。こいつらがそうか?」
「こんばんは、カールさん。はい、この二人です。好きなだけこき使ってください。それが彼らの罪の償いになりますので」
「「う」」
「ふふ、植物研究の手伝いですから、精神的にも肉体的にも至極健全なお仕事ですね!」

指名された実行犯たちが顔を引き攣らせ、ロッソががっくりと肩を落とした。

「・・・あんたがいうと胡散臭いわね・・・」
「同感です、ロッソさん」
「あんたも大変ねレギオン」
「はい、全くです」

何やら頷きあっている二人をスルーして、私は全員に向けてにっこりと笑いかけた。

「では、よろしくお願いしますね?」

fin.

後書き。

2.リクエスト依頼者:新座 様
キャラクター:リーブと仲間達、マリン、デンゼル、ロッソ
リクエスト内容:「表側で子供たちの相手をしてほのぼのしつつ、 裏側では丸っきり別の事件をケット・シー越しに冷静に進めているリーブさん」

やっと終わりました・・・。一年以上かかってますねえ。あ、でもよく思い返してみるとそんなに冷静でもないかも?まあでも局長しては冷静だったことにしよう、うん。ロッソも最後しか出せてないですね・・・。でもロッソの監視下なら逃げようがないし、ビシバシ鍛えられそうなので(笑)。仲間たち、ナナキとティファくらいしか入ってないか。しかもティファ喋ってないか。すみません。

そんな感じで(おい)、新座さん・・・にまだ見捨てられていなければですが・・・如何でしたでしょうか。子供たちの相手をするとなるとリーブさん自ら出向いてないといけないですが、単独で動く場面が難しいなーと思ったらいつも通りのイベントになりました(笑)。だってうちのリーブさん、イベント大好き人間なので、これなら違和感なく子供たちの相手が出来るかなと。ケット・シーは自由に動いているので、通報があったので出向いた先で巻き込まれた形にしてみました。かなり酷な解体できない爆弾対応となってしまいましたが、ごめんよ。だって解体できる爆弾だったらリーブさんの占いで分かっちゃうじゃないですかw関係ないですけどナナキとケット・シーのコンビいいですよね。ほのぼの動物コンビ。あとレギオンとロッソも意外といいコンビかもしれませんね。リーブさんに振り回されるという点でw

それではリクエストありがとうございました!!!