23.似合わない

「それ、ちょっと貸して貰えませんか?」
「・・・これ、か?」
「ええ」

にこやかな笑顔のまま頷いた上司に、
俺は背中のバスターソードを無造作にとりあげ、ほい、と片手で渡してやる。

「ありがとうございます」

両手で受け取った相手は。
途端、前方に傾いた。

「・・・って、重すぎませんか、これ・・・」

何とか踏ん張っているが、明らかに負けている。
そうでなくても慢性的に体力満タンとはいかないやつだ。
懸命に両手で支えている相手の姿に、俺はやはり噴き出した。

「ちょっと、笑わないで下さいよ・・・」
「や、もう、余りにも予想通りすぎて・・・!!!」

そこへ、失礼します、と声をかけて職員が入ってきた。
彼は局長の状態を確認すると、一つ瞬きをした。

「局長。遊んでいる暇があるのでしたら仮眠してください」
「・・・あの、そこは仕事しろと注意するところではないんですか」
「書類を持ってきた私がいうのもなんですが、貴方は仕事しすぎです」

暫く俺の剣を構えようと頑張っていたらしい上司は、案の定、へたばった。

「・・・で、どうするよ、局長」
「・・・降参です。私には扱えませんよ・・・」

ひょい、と俺は剣を取り上げ、背中に戻す。

「あんたじゃ無理だ」
「・・・返す言葉もないですね」
「・・・それでいいんだ」
「へ?」
「あんたは、こんなもの必要ない」
「・・・?」

fin.