38.代理

※「交渉」で、
もしも召喚に巻き込まれたのがリーブとシャルアだったら。

 

「話を聞かせてもらおう」

スーツの青年が近寄ってくる。

「ええ」

答えるリーブの側を通り過ぎ、白衣を翻したシャルアが一歩前へ出た。

「・・・シャルアさん?」
「リーブ、下がっていろ。あたしが相手をしてやる」
「え?」
「レギオンも誰もいないんだ。
あたしがあんたの護衛をやってやる」
「・・・はあ!?」

予想外過ぎる展開に、リーブが固まる。
シャルアは不敵に笑って懐から拳銃を取り出した。

「一度やってみたかったからな。いい機会だ、あんたは下がっていろ」

ぶちっ、とリーブの中の何かが切れた。
ずかずかとシャルアとスーツの青年の間に割って入る。

「何をいってるんですか!
貴女のことは私が守るんです!貴女が下がってください!」
「ふん。戦闘員でもないくせに何をいっている」
「貴女も戦闘員ではないでしょう!?」
「あんたより戦えるさ」
「命令です!下がりなさい!」
「嫌だね」
「シャルアさん!!」

一歩もひかない二人に、蚊帳の外だったスーツの青年が呆れていた。

「あー。痴話喧嘩は後でやってくれ」
「痴話喧嘩って・・・」
「どうせなら夫婦喧嘩といえ」
「ええ!?」

シャルアの爆弾発言に、ぎょっと振り返る。
訝しげに青年が眉を顰めた。

「・・・君たちは夫婦なのか?」
「違いますから!」
「あたしはあんたを予約してるんだ。特に問題はないだろう?」
「おおありですよ!」
「それとも既に浮気か?」
「するわけないでしょう!?」
「ならいいじゃないか。
非力な男を守るのも、女の役目だろう?」
「な、私だって戦えますから!!!」

またしても言い争う二人の耳に、
感極まったような別の女性の声が割りこんだ。

「貴女、いいこと言うわね!!!」
「へ?」
「ん?」

振り返った先、ボブの金髪をさらりと揺らし、
拳を握って力説する眼帯の女性がいた。

「そうよ、力ない男共を守ってやるのも女の役割よね!!!」
「あんた、話が分かるじゃないか!」

がしっと熱い握手を交わす女傑二人に
見守る男共が冷や汗をかいた。

「K・K・・・」
「しゃ、シャルアさん・・・」

fin.