47.不要なもの

※会話のみです。

「・・・局長ー」
「なんです?」
「あんた前、『WROは世界に必要とされている』とかいってましたよね?」
「ええ」
「あれってどういう意味かなーって」
「・・・レギオン」
「ほい」
「・・・勝者、とは何故存在するか分かりますか?」
「勝者って・・・勝った奴、ってこと?」
「ええ」
「そりゃー、一番優れてたからじゃねえの?」
「いいえ、違いますよ」
「じゃあなんなんです?」
「・・・敗者が存在するから、ですよ」
「・・・。はあ?」
「どんな争いも、負ける者がいるからこそ勝つ者がいるのです。決して、勝者のみにはならない。
逆にいえば、勝者は敗者あってこその、勝者なのですよ」
「んーまあ、分かるけど」
「それと同じですよ」
「・・・へ?」
「我々WROは星に害をなすあらゆるものと戦うのが理念・・・。つまり、星に害をなすあらゆるものがあってこそのWROなのですよ」
「えっ!?」
「WROは敵を前提とした理念を掲げています。
つまり世界に敵がいる間は、WROは存在が可能です。しかし敵がなくなれば・・・」
「・・・WROも、存在できないって、ことですか?」
「ええ」
「いや、そのきっぱり言われてもなあ・・・。
じゃあなんです?もし敵とやらが消えたら、
あんた、WROを解体するんですか?」
「すべての敵がいないのであれば、即解散ですね。
軍隊など、あるだけ争いの種になるだけですし」
「こらこら。軍隊のトップがんなこといっていいんですか」
「大丈夫ですよ。それが理、ですから」
「・・・で、もし、解体したら
あんたはどうするんです?」
「どうするもないでしょうね」
「・・・どういうこと?」
「世界に必要でない軍隊のトップですから。
然るべき手段で裁かれて、
運が良ければ刑務所でしょうか」
「おいおいおい!!!」
「まあ、きっとその場で処刑じゃないですか?」
「局長!!!!」
「なんです?」
「・・・そんなこと、絶対に、させませんから」
「解体、ですか?」
「違います!!!
いいですか!!!
あんたが処刑されるなんて、絶対に、ありえませんから!!」
「何をいってるんですか、レギオン。
軍隊のトップですよ。これまで何人殺してきたと思ってるんですか。今はまだ敵が存在するので辛うじて対抗手段として存在が認められてますけど、そうでなければ消えるのが道理ですよ」
「どうしてそう頑ななんですか・・・。
いいですか。あんたは殺したんじゃない。
護ってきたんだろ?そうして、ここまでの規模の組織になったんです。
たとえ、あんたが裁かれる日が来たとしても、
あんたに救われたやつが、何もしないと思ってるんですか?」
「・・・救われた・・・?」
「・・・ああほら、やっぱりわかっちゃいない。
あんたが裁かれるなら、前線で戦っている俺たちも処罰でしょ」
「あなた方は私の命に従っただけですから、責任はありませんよ」
「・・・全く。
そんなあんただから、俺たちがここにいるっているのにまるで分かっちゃいない。
まあいいや、あんたがわかっちゃいなくても、
あんたは、絶対に死なせたりしない。
それは、変わりませんから」
「・・・?」

「ああ、そうだ局長」
「なんです?」
「あんた、取引相手との間でよくWIN-WINの関係が理想っていってますよね?」
「ええ」
「あれって、こっちもあっちも得をするってことですよね」
「ええ」
「だと、何処にも敗者っていないじゃないですか」
「・・・競争と取引はまた別ですよ」
「そうかもしれませんけど、でも
・・・うちの局長はあんたですから」
「・・・?」
「それに、もしあんたのいうとおりだとして、
全ての敵がいなくなったら・・・。
理念、変えちゃえばいいんじゃないですか」
「・・・え?」
「ほら、例えば
『星のあらゆる企画を運営する』組織とかさ。
あ、なんならあんたの街づくりを全面にだす理念とかにしたらどうです?」
「・・・まあ、私がいなければできるかもしれませんが」
「はあ?」
「私が軍隊のトップなのは事実ですから。
そうですね。新しいトップ就任と同時に理念、
いえ、WROという名称から変えても・・・」
「ストップ!!!」
「・・・はい?」
「だーかーらー!!
うちは、あんたがいないと始まらないですから!!!」
「組織なら別のトップを据えれば問題ありません」
「問題おおありです、リーブ局長!!!」

fin.