50.アルスラーン戦記名場面をやってみた。

※アルスラーン戦記のギーヴ名場面を、DCFF7メンバーでやってみたらというパロディ。(配役はWeb拍手「39.DCFF7でアルスラーン御一行様」参照)

アルスラーン戦記・第二期。『風塵乱舞』

王太子デンゼルはペシャワール城へ攻めてきた隣国の王と敵対していた。かの王は王太子軍を城塞からあぶり出すため、捕虜の兵士を城門の前で惨殺してみせたのだ。
人道に悖る行為を行う侵略者に対し、その背後を信じる臣下に任せ、黄金の甲冑に身を包んだデンゼルは一騎にて果敢に駆けていく。だが、相手も蛮勇の王。
馬を一歩後ろに踏み出せば真っ逆様という位置に追いやられてしまう。目の前には草原の覇者を名乗る王が鋭い切っ先を振り上げていた。

「さあ死ね!嘴の黄色い雛鳥め!!!」
「殿下!!!」

王太子の危機に味方は思わず叫ぶが、彼らと王太子の間には距離もあり、且つ各々敵に囲まれているため駆けつけることも出来ない。そしてデンゼルに凶刃を防ぐ術はない。
彼は青ざめた顔で目をしっかりと見開いてその先を見据えるしか道は残されていないと思われた・・・

そのときだった。

彼方より一閃の矢。

風を斬り、吸い込まれるように敵将の馬へと突き刺さる。甲高い嘶きと共に目の前の軍馬が倒れ、敵の巨体が剣と共に地に落ちた。

王太子は矢の放たれた方向をはっと振り返る。
遙か彼方の崖上に立つ人物。
月光を背に浮かび上がるは、暫し王太子の側を離れていた流浪の楽士。
弓を構えた彼は、不敵な笑みを浮かべていた。
デンゼルの顔に生気が戻る。

「リーブか!」
「リーブ!?」

王太子や仲間たちに名前を呼ばれる中、リーブは馬を操り、一気に絶壁の崖を駆け下りる。崖下で待ちかまえていた敵を剣で難なく打ち倒し、王太子を庇うように馬を進める。落馬した敵の王が代わりの馬に跨がりリーブと対峙する。

「何奴か!」

鋭い目の王の一喝を無視すれば、背後から安堵の声が届く。

「リーブ!よく戻ってきてくれた!」
「・・・恐縮です、殿下。
そろそろ帰参の時期かと思いまして、でしゃばって参りました」

楽士リーブがにっこりと笑ってみせれば、主であるデンゼルも安心したのか笑顔をみせてくれた。

離れた戦場で、和やかな主従の会話を聞いていた軍師ヴィンセントがぼそっと呟く。

「・・・あいつ、頃合いを見計らったな」

リーブは心底楽しげに宣言する。

「おのずと注目を浴びてしまう。私はそういう運命の元に生まれてしまったらしいですねえ」
「・・・貴様、リーブと申すか」

放置された敵が、顔を引き攣らせていた。
おや、忘れてましたねえ、と嘯きながらリーブは今度こそ敵と向き合う。但し、ひょいと人差し指を軽く挙げて、食えない笑みを浮かべ、だが。

「・・・ただのリーブではないですよ?上にちゃあんと、『正義と平和の使者』とつきますから」

人差し指をこれ見よがしに振ってみせれば、敵が簡単に顔を歪ませた。

「戯れ言を!」

憤る相手に、リーブは余裕をみせてぱちんと片目を瞑る。

「・・・気にいりませんか?それなら『美女には愛を。醜男には死を。』としてもよいですが?」
「ーーー殺せ!!!」

カット!!!OKです!!!

と何処からか天の声が響く。
これまでのシーンでOKが出たらしい。

馬上のリーブが怪しい笑みを浮かべた。

「ふふ・・・ふふふふふ・・・!!!」
「どうしたんですか局長。シーン1、終わりましたけど?」
「・・・ギーヴ役、楽しすぎますよね!!!」
「は?」
「主の窮地を助け、颯爽と戦場を駆け抜ける従者・・・!!!まさに理想ですよ!!!しかも敵将を煽る余裕まであるなんて!!!」

うっとりと目を細める上司に、黒衣の騎士役のレギオンと、軍師で旧領主役であるヴィンセントがすかさず突っ込みを入れる。

「いや、うちでいうと、主はあんたでしょうに」
「お前は敵どころか味方も煽るだろう」

ヴィンセントの指摘にうんうん、と頷いたレギオンが更なる追撃を行った。

「それにあんた、今回は従者補正で戦闘の技術が付いてますけど。これがなかったら、デンゼル君のとこにたどり着く前にあっけなくやられてるじゃないですか」

普通ならそこは主人公補正、なのだが、如何せん現実のリーブには馬術も弓術も剣術の技術もない。・・・チョコボなら乗れるが。
万能型のギーヴ役だからこその補正である。

指摘されたリーブは輝くような笑みを浮かべた。
目は、全く笑っていないが。

「・・・レギオン?後で転職の手続きですね」
「すすすすすすみませんでした!!!やめてください!!!」

fin.