53.最終霊基再臨

※「英霊召喚」設定。

ハンスがWRO本部にいつくようになって早一週間。基本的にケット・シーと行動を共にしていたが、たまには一人でぶらつくこともあるらしい。といっても一般の局員には姿を見せないので、ハンスを見たい局員は大層悔しがっているそうだが。
それは兎も角、今日はリーブが出張しないこともあり、ハンスがシャルアに呼ばれ、まあ行ってやらなくもないと彼は出掛けていった。そして局長室に戻ってくるなり、リーブはきょとんと彼を見返した。

「ハンス?その姿はどうしました?」

彼は常に青い礼服を来ているのだが、その上に真新しい白衣を羽織り、かつ縁の青い眼鏡までかけていた。ハンスが皮肉げに口元をあげる。

「ルーイ姉妹から押し付けられてな!科学部門統括殿曰く、白衣を着用していないものが科学部門に来ると目立つらしい!その前にガキがいる時点で目立っていると思うのだがな!そして眼鏡は情報部門統括殿からだ!目の疲労となるブルーライトとやらをカットするらしい!馬鹿め!俺は既に亡霊、これ以上視力が落ちることもあるまい!」

ふむふむ、とリーブはハンスの説明を理解した。両統括はハンスを気遣って白衣と眼鏡をくれたらしい。つまり。

「随分と気に入られたものですねえ・・・」
「はあ?貴様の頭は今日もお花畑か!あのすっ飛んだ女たちを貴様がきちんと制御しないからだろう!戦闘能力が皆無ならば、部下の育成くらいきちんとやり遂げてみせろ!!」

怒濤のように畳み掛けたハンスはルーイ姉妹を貶しているように聞こえる。だが、彼がその白衣と眼鏡を外そうとする気配はまるでない。
リーブは満足そうに微笑む。

「よかったですね、ハンス」
「だから貴様は人の話を聞け!!!」

fin.