59.ブーケ

※「Heaven’s here」後。

閉店後のセブンスヘブン。私はカウンターに独り腰掛け、ほうっと熱のこもったため息が漏れる。
何度思い返してもいい結婚式だったわ。リーブも幸せそうに笑っていたし、シャルアは本当にお姫様みたいに綺麗だった・・・。

視線の先にはガラスの花瓶に生けられた白い薔薇のブーケ。てっきり妹のシェルクに投げるんだと思っていたから。

『ティファ!』
『えっ!?』
『リーブが世話になった礼だ!今のあんたなら、花言葉を堂々と言ってやれるんじゃないか?』
『ちょ、ちょっとシャルア!』
『いいですね。楽しみにしていますよ』
『リーブまで!?』

清楚なブーケは、何度見ても美しい花嫁を思い起こさせる。しかもリーブったら、式の最中に。

『・・・シャルアさん・・・、もう離してあげられませんよ?』

これって、つまり。その、クラウドだったら・・・。

『ティファ。・・・もうお前を離さない』

キャーっ!!!!
ってことよね、ことよね!

熱くなった顔を手で覆ったけど、湯気がでそうだった。もう、リーブったらみんなの前であんな強烈な求婚しちゃうなんて。でも・・・ちょっと、羨ましいな。
なんだかんだ言ってリーブはちゃんと言葉にしてくれるもんね。シャルアも安心できそう。
ほうっと再びため息をつく。熱はまだまだ冷めそうになかった。

*   *

「なあ、クラウド」
「な、なんだデンゼル?」
「ほうっておいていいのかよ?」
「な、何を!?」
「もうクラウド!さっさと言っちゃいなさい!」
「だ、だから、い、一体何を・・・」
「はあ。これだからクラウドは・・・」
「デンゼル!?」
「そういえばね、ティファ、お店の常連さんからあのブーケのこと聞かれる度に顔を赤くしてるんだよ?」
「マリンっ!?」
「そろそろ言ってくれるかなーって思ってるんじゃないかな?」
「うっ・・・!」
「それに、早くしないと出遅れると思うけど」
「ど、どういうことだ!?」
「だって早とちりでティファ狙ってる客が、『指輪を買わねば・・・!!』ってつぶやいてたぜ?」
「どうするの?クラウド」

「っーーーーーー!!!!」

「あ。走って二階に行っちゃったね」
「ティファはカウンターなのに逃げたのかよ?」
「ううん、違うよ」
「?なんだっていうんだよ、マリン」
「多分クラウドの貯金を確かめているんだよ。指輪が買えるかどうか」
「もう、早くしてくれよな。俺、ティファがナンパされる度に邪魔するの、そろそろ面倒なんだけど」
「そうだねー。どうせラブラブなんだから、早く結婚してくれればわたしたちも楽なのに」
「「ねーー」」
「仕方ない、クラウドが指輪買ってくるまでは俺たちで防御してやるか」
「うん!」

そうして。

「ティファ、話を聞いてくれーーー」

きっとその日はすぐ、そこ。

fin.

このカップリングをまともに書いたのは初めてのような気がする(笑)。