60.英霊の条件

※リーブさんとハンスが会話しているだけ。

「そういえばハンス」
「何だマスター」
「英霊は作家など芸術系で名を残した方が多いのですか?」
「はあ?何故そう考える?」
「いえ、世に残る作品を作り出す芸術家の方が、後世まで名が轟きやすいのでは・・・と思ったのですが」
「ふん。俺たち芸術家系は少ない。それよりも武芸を持って国を救うだの民を救うだの、分かりやすい英雄譚をもつ輩のほうが多い。なんたって自称無力な民草が好むからな!!!己の自堕落を省みずに過去の英雄様とやらの夢を語る方がよっぽど楽しいらしいぞ!俺はごめん被るがな!」
「では矢張りハンスは世界に名だたる童話作家ということですね・・・!素晴らしいです」
「・・・待て。貴様、俺の言葉を聞いていたのか?俺なんぞ例外中の例外だろうに。何せ戦えないかつ役立たずで貧弱なサーヴァントだ。召喚したマスターがまず落胆する有様だからな!」
「何ですって!!?ハンスを召喚出来ておきながら落胆なんて・・・!!!ハンス、その罰当たりなマスターとやらを教えてください。私が説教しに参ります!!!」
「・・・相変わらずずれた方向にスイッチが入る奴だなリーブ。貴様の感性こそ規格外だと自覚しろ。それにリーブ。貴様他人事のように英霊を語っているが、貴様が死後英霊に祭り上げられる可能性は非常に高い。確定している、といっても過言ではないぞ?」
「・・・は?私が、ですか?いえ、それはないでしょう。クラウドさん達ならまだしも・・・」
「世界を救ったジェノバ戦役の英雄。かつその後の世界の再生に貢献したリーダーだろう?ふん、馬鹿な民衆どもに信仰めいた対象にされてもおかしくはない。いや、既に貴様に陶酔している部下どもも多いと聞く。貴様が死後も無駄に働かされるとは小気味がいいな!せいぜい能なしのマスターに召喚されて持病の胃痛でも悪化させるがいい!!」
「あの、持病ではないですから。その、偶に胃薬にお世話になっているだけで・・・って、いえ、私のことは兎も角。死後、というのがなければ、クラウドさん達を召喚できたらいいですよね。ふふふ、給料いらずで物資の配達からモンスター対策の警護、ああ非常事態の部隊のリーダーとか・・・!いいですね、それ」
「敢えて指摘するが、貴様が奴らを呼びつけている現状と何が違う?」
「これでも遠慮してるんですよ?ほら、余りお呼びしてしまうと、ティファさんやマリンちゃん、デンゼル君に悪いですし・・・」
「ならばヴィンセントは何だ」
「え?便利屋?」
「・・・不憫になってきたな。これ以上俺に語ることはない」
「えええ!?ちょっとハンス、相手してくださいよ!!!」

fin.