68.主従

「なあリーブはん」
「何ですか、ケット」
「最近ボク出張ばっかりちゃうか?」
「そうでしたっけ・・・?」
「そうやで?ロケット村やらカームやらコスモキャニオンやらゴールドソーサーやら、そりゃあボクも旅行好きやし仲間に会えるのは嬉しいけどや。ボクかて家が恋しゅうなることもあるんやで?」
「そうですねえ・・・。ケット・シーだと私の目でも確認できるのでつい頼みすぎましたね。すみません。あ、でしたら」
「何や」
「交代しましょうか」
「はあ?」
「私がケットに頼むつもりだった出張へ行き、ケットは私の代わりに本部にいてはどうでしょう?これなら家に帰れますよ」
「何言ってんのや。リーブはんがボクの代わりを出来ても、ボクはリーブはんの代わりは出来へんで」
「え?出来るでしょう?」
「無理に決まっとるやろ。ええか、リーブ。会議のこと考えてみいや。議長席にリーブはんが座っとるならまだしも、ボクがいたらしまらへんやろ」
「議長席にケット・シー・・・何だか和みそうですね」
「和んでどうするんや。会議終了時に、リーブはんが『それではよろしくお願いします』ゆうたらみんな従うやろけど、ボクが『ほな頼んますー』ゆうでもだあれも動かんやろ」
「え。面白そうですけど・・・」
「何を自問自答しているんだ貴様ら」
「おやハンス」
「ハンスはんやー。御久しゅうー」
「前から気になっていたんだがな。貴様ら、遠方にいても会話ができるのだろう?」
「そやでー」
「ええ、まあ」
「距離に制限はあるのか?」
「考えたことはないですが・・・。私がミッドガル、ケット・シーがミディールにいても繋がりましたね」
「そうやなー北の大空洞っちゅー電波もなーんも届かへん地下洞窟でも会話しとったしなあ」
「規格外にも程があるぞ馬鹿者」
「そやけど、リーブはんが異世界やと流石にあかんみたいや」
「そういえば・・・」
「貴様この前行ったばかりだろう。それとも何だ、あれ以外にも経験があるのか?とんだ巻き込まれ体質だな!こんなマスターでは命がいくらあっても足りんだろうに!」
「んーまあボクはリーブはんがいればまた復活できるで?」
「俺も魔力供給さえあれば再利用可能か!全く大したマスター様だな!」

そんな3人を遠目で見守る護衛隊長がひとり、腕を組んでうーんと唸っていた。
そこへ部下が通りかかる。

「どうしたんです、隊長?」
「あれ、見てみろよ」
「局長とケット・シーとハンス先生・・・。なんか局長にちみっちゃいのが2人戯れて・・・癒されますよね」

護衛隊長はぷっと吹き出した。

「・・・だろ?」

fin.

リーブさんとケット・シーの組み合わせだけでも可愛らしいのに、そこへハンスを投入するとちみっちゃさと癒しが倍増する気がします。