「・・・何か私に申し開きをすることがあるのではないですか?」
「うっ・・・」
WRO局長室。
いつもなら俺はこの男の背後で任務を全うするのだが、その前に男に呼び止められた。
デスクを挟んで向かい合う。
俺は直立不動で、男は悠々と座っているが・・・目が、恐い。
俺はだらだらと汗を滝のように流していた。
ばれないはずだったのに。
やはりこの男を欺くのは無理だったのか・・・。
「や、その、気のせいですよっ!!!」
「ほう・・・?」
きらりと漆黒の瞳が光った。
「・・・ではこれを使えますよね?」
「ううっ!」
男が懐から取り出した小さなリモコンのようなそれをみて、俺は後ずさる。
「どうしました?子供でも使用できるこれを、貴方が使えないとは言いませんよね?」
「うっ・・・ううっ・・・!」
「では・・・」
男がリモコンを手に取り、俺に向ける。
男がそのボタンを押す前に。
「も、申し訳ありませんでしたーーー!!!」
俺は観念して、その場で土下座した。
* *
「連れて行きなさい」
「「はっ!!」」
両側から腕を取られ、護衛隊長がずるずると引きずられていく。
入れ違いに部屋に入ったあたしは首を傾げた。
「・・・あれは何だ?」
「ああシャルアさん。あれ、シャルアさんにも説教してほしいのですが」
「ん?」
リーブが手元の小さな機械を見遣る。表示には39.3℃。
「高熱があるのに出社してまして」
「成程な。こってり絞ってやろう。が・・・」
「・・・が?」
振り返ったリーブへ、あたしはにやりと笑った。
「人のこと言えるのか、リーブ?」
「・・・え!?あ、いえ、今日は大丈夫ですから!」
「・・・語るに落ちるとはこのことだな」
fin.
偶にはレギオンも体調崩すこともあるだろうなと。