85.弄られキャラ

「・・・局長。俺、決めました」
「ほう?何を決めたのですか、レギオン」

WRO局長室。
悠々と椅子に座る局長の真向かいに陣取り、俺は覚悟を決める。
いつもどおり食えない笑みを浮かべる宿敵に、負けじと目力を込めて、宣言した。

「俺。弄られキャラから弄りキャラになります」

暫し、間が開いた。
局長は停止状態から漸く理解が追いついたのか、がたん、と椅子ごと後ろに後ずさった。

「なっ・・・何ですって!?」
「ちょ、そこそんなに驚くところですか!?」
「ですが・・・!あのレギオンが、弄る側になるなんて・・!?」
「局長ーーーー!?酷ーーーー!!!」

俺は思わず力一杯抗議した。
というか世界滅亡の危機でもない限り口調の乱れないこの男が、何故俺の宣言ごときでこんなに驚くのか・・・。
局長はふう、と胸に手を当てて落ち着きを取り戻したらしい。

「ですがレギオン」
「何ですか」
「どうすれば弄り側になるか、分かっていますか?」
「・・・うっ。」
「でなければ貴方の宣言は我々・・・失礼・・・つまり弄り側にとっては格好の弄りネタにしかなりませんよ?」
「そ、それはっ・・・!!」

今度は俺が思わず後ろに後ずさった。
そういえば考えてなかった。
取りあえず弄られキャラを脱却してやるとしか意気込んでなく、方法などはまるで分かってなかった。

「そこで提案ですが」
「提案?」
「言葉のスペシャリスト・・・つまりハンスに弟子入りしてみてはどうでしょうか?」
「おお!!確かにハンス先生なら、いいアドバイスくれそう!」

俺は思わぬ提案に飛び付いた。
何せ、俺がいつも弄られて勝てないこの局長を、完敗させられる数少ない人物。しかもシャルア統括のように暴力で訴える(笑)こともなく、論破してのけるのはハンスくらいだろう。

「・・・ということで、ハンス?」

マスターである局長が呼びかければ、応接セットのソファに瞬時に青い髪の少年が現れた。
その見た目に反して、舌戦で連戦連勝、負け知らずの稀代の童話作家様だ。

「ふはははは!いいだろう、頗る面白そうだ!退屈しのぎに一つ気安い講義でもしてやろう!」
「おおーーーー!!!ハンス先生!御願いします!!!」

俺は頭を下げて、弟子入りすることにした。

   *   *

「・・・ん?あれは何をしてるんだ?」
「ああ、シャルアさん。レギオンが弄られ側から弄り側になりたいというので、
ハンスを巻き込んで全力で弄っているところですよ」
「・・・あいつ・・・。相変わらず弄られていることに気付いてないのか」
「はい。だから、レギオンは弄られキャラなんですよ」

fin.

レギオンネタ2(笑)。いや、靱葛自身が弄られキャラ疑惑があるので、どういう人が弄られるのか考えてたら・・・ネタになった(笑)。