86.リメイク

「聞きましたよ局長!!!」
「何ですか?レギオン」

WRO局長室で書類を捌いていた局長が、全く手を止めることなく俺に問う。
俺は思い切り、にやりと笑った。

「FF7リメイクらしいですよね!!!」
「ごほっ!」

あ。噎せた。

「ど、何処からその情報を・・・!」
「えー?WRO局員全員楽しそうに喋ってましたよー?以前のFF7よりも鮮明な画像で、若き日の英雄たちに会えるって!」
「・・・全権力で却下します」
「局長ーーーー!?」

俺が勢い込んでデスクに詰め寄ると、局長は心底嫌そうにため息をついた。

「FF7自体も削除させたかったのですが・・・シェルクさんに幾ら頼んでも実行していただけないんですよね・・・」
「そりゃあーあのゲーム、一番人気ですし!何せあのクラウドさんになって世界を救えるんですからね!!!」
「・・・クラウドさんになっていただく分には構わないんですけどねえ・・・」

局長がまたため息を一つつきつつ、手にしていた書類を処理済みの山に積み上げていく。

「ケット・シーも操作できるし!」
「光栄やけど、ボクもちょっと恥ずかしいわあ・・・」

ソファの陰からひょっこりとケット・シーが顔を出す。

「ケット・シー・・・いたのですか」
「勿論ボクだけやないで?」
「え?」

次の瞬間、ソファの上に堂々と姿を現したのは、蒼い髪の少年だった。

「ほほう、マスターの若き日の恥が再度解像度を上げたゲームで再現されるだと!いいぞ!俺のタブレットにダウンロードさせてもらおうか!」
「やめてくださいよ、ハンス!!!!」

反射的に言い返した局長を見ながら、俺はあーこれ、絶対ハンス先生楽しんでるなーと傍観することにした。

電子音が鳴って、扉が唐突に響く。

局長の許可なく扉を開けられる人物は限られている。かつかつと持ち主の性格を表す闊達な足音が響いて、白衣の統括がデスクの前を陣取った。

「おい、リーブ」
「シャルアさん・・・。はい、何でしょうか?」
「有休を申請する」
「え?」
「シャルアはんが有休やなんて、珍しいわあ」
「ですねえ。はい、いつでしょうか?」
「来年の4月10日だ」
「・・・え?」

局長が固まった。
そして、俺はもしかして、と科学部門統括の次の言葉を待った。
彼女は勝ち誇った表情で、宣言した。

「リメイクでのお前の姿を確認しなければな!」
「シャルアさんまで!?」

fin.

うん、絶対リーブさん嫌がるよね・・・w都市部門統括部長時代のリーブさんだし。でもシャルアは嬉々としてプレイする・・・けど不器用そうだな、シェルクに手伝ってもらってそうだ♪