ばたん、と扉が開いた。
局長室に主の許可なくあっさり侵入したのは白衣の科学部門統括である。
ああ、ついに来たか、と思った。
「リーブ」
「はい」
目の前で仁王立ち。硬い声、逃げることを許さない目。彼女なら誰よりも真実を射貫く。
「例のゲーム、大体把握した」
「・・・そうですか」
神羅時代の悲劇を再現したという玩具。どこまで真実に近づいているかは分からないが・・・否、監修はしていたのだが。
「あたしが何を言いたいか、分かるか?」
「・・・はっきり言っていただけませんか?」
その眼差しを真正面から受け止めて。彼女なら、一切の誤魔化しを入れずに答えてくれるはず。
「ならば言おう。・・・チャドリーは何処に居る?」
「・・・。・・・はい?」
思考が止まった。
言われたことが分からない。
「おい、リーブ。質問に答えてやれ」
「リーブはーん。・・・あー。こりゃストップでもかかったみたいやな」
ソファにいたケット・シーとハンスが何か喋っている。
・・・チャドリー?
・・・居る?
・・・人名、のようだが・・・。
思い出す前に、ハンスがにやりと笑った。
「チャドリーといえば、あの科学部門にいたという少年か!一体何処からマテリアを捻出しているのか分からなったが!」
「んー?そーいや神羅時代科学部門で失踪した研究員がいたとかいうけど・・・割りに日常茶飯事やったしなあ」
「こええ・・・!!!何気に怖いこと言わないでくださいよー、お二人とも!」
通常営業に戻ったのか、レギオンまでが背後で何かコメントしている。
こほん、と咳ばらいを一つ。
「・・・ええと、シャルアさん。チャドリーとは、ハンスが言っていた少年のことですか?」
「勿論だが」
「え、ええと、それ以外に感想は・・・?」
「ない。いや、確かにプレート落下の悲劇に思うところがないわけでも、あんたに責がまるきりないとも思わない」
「はい」
「だが、あんたは今ここにいる」
「・・・え」
「世界の再生にあんたが陣頭指揮を執っている。ならあたしらはそれを支えるだけだ」
きっぱりといいきる彼女は、いつもながら強い。
「・・・シャルアさん・・・」
そして一つ頷いた彼女は重ねた。
「というわけで、チャドリーの居場所を吐け」
「え」
「捕獲して科学部門研究員として確保する!」
「シャルアさん!?」
fin.
後書き。
チャドリー少年は・・・まもなく捕獲されるかと(笑)。