オトモアイルー

揺れる船内の食堂には、同じく新大陸へ向かうハンター達が思い思いの時間を過ごしていた。アイルーたちが運んできた料理を食べる者、何やら分厚そうな本を一身に読んでいる者、仲間と酒を酌み交わす者・・・。その中で、あたしは思わぬ知り合いを見つけた。人ではないが、ドンドルマのハンターとして有名な友人。

「ケット・シー。何故お前がここにいる。しかもその格好は・・・」

ひょいと振り返ったケット・シーは、あたしを認めてがっくりと肩を落とした。

「シャルアはんか。これは・・・リーブはんの陰謀や・・・」
「あいつの?」

*   *

新大陸へ出港する前日、ケット・シーはリーブに呼び出されたらしい。

「シャルアさんお一人では心配です。そこで、ケット。貴方にも新大陸へ行ってほしいのです」
「まあボクも新大陸には興味あるさかい、構わへんけど」
「はい。ドンドルマの防衛にはクラウドさんたちに依頼します」
「りょーかいや」
「ええ、ケットには、常に、シャルアさんと行動を共にしてほしいのです」
「常にって・・・ま、まさか」
「はい」

にっこり笑って、リーブは命令した。

「シャルアさんのオトモアイルーとして、同行いただきたいのです」
「なんやてえええええ!!???」

ケット・シーは文字通り飛び上がった。これでもケット・シーはHR300を超えるハンター。巻き込まれてあたしのオトモアイルーになったことはあるが、それでも普段はナナキとコンビで高難度のクエストを何度もクリアしてきたベテランだ。

「なんで普通にハンターやとあかんのや!!」
「シャルアさんへのサポートが間に合わない可能性があるので」
「ハンターとして共に行けばええやろが!」
「ええ、心配ありませんよ。シャルアさんのオトモアイルーとして登録済みですから」
「ああもう!!少しは人の話を聞かんかい!!!」
「貴方は人ではないでしょうに。はい。アイルーのドングリ防具と武器一式です」

オトモアイルーとしての初期装備一式を渡されて、ケット・シーは観念した。

「はあ・・・。新大陸行けるんやから、もうええわ」
「よろしくお願いしますね、ケット」

*   *

「・・・ちゅーわけや・・・」

ということで、再びため息をつくケット・シーの姿は見事にドングリだった。
いつもなら小さな王冠を乗せている頭には、黄緑のヘルメット。
胴体には茶色のドングリデザインに蔕らしき腰回りが黄緑色。
持っているランスさえドングリ仕様。
あたしのオトモアイルーとなったときと同じ格好だった。

くくっとあたしは笑った。

「相変わらずだな、あいつは。だが、ケットが来るというなら心強い。頼んだぞ」
「はあ。まあ、しゃーないな。頼まれたるわ!」

fin.

後書き。

連絡さえ中々届かない新大陸へシャルア一人だと心配過ぎたリーブさんの手配でした(笑)。
うちのシャルアもオトモアイルーはブチのケット・シーを連れてます。そろそろ防具変えてやるべきかw