11.墓参り再び

※「護衛」より後になります。

「あんた、クラウドさんと一緒にいくっていいませんでした?」
「ええ、ですから一緒じゃないですか」
「現地集合とは、ひとっことも聞いてませんでしたが」
「ええ、言ってませんでしたから」
「あのー・・・あんた、俺が気づかなかったら一人で来るつもりだったんですか」
「ええ、勿論ですよ」

すべての詰問にさらりと答える護衛対象に、だはあ、と護衛隊長がうっかり膝をついた。
乾いた風が、ひゅるりと吹き抜ける。
後ろから部下たちが慰めるようにぽん、と肩を叩いた。
WRO関係者の遣り取りを見守っていたクラウドは、仲間である男を呼んだ。

「・・・リーブ」
「おや、どうしましたクラウドさん」
「あんた・・・。護衛を巻く気か?」
「そういう訳ではないですよ。
ただ、・・・個人的なことに護衛の皆さんにおつき合いいただくのも気が引けまして・・・」

その言葉に、多少復活したらしい護衛が口を挟んだ。

「・・・そういう問題じゃないですよ。あんた、自分が年中狙われてるってわかってます?」
「ええ、まあ」
「分かってないですよ・・・!!!」

また始まったやり取りに、クラウドは簡潔に感想を呟く。

「・・・大変だな」
「ええ、そうみたいです」
「原因はあんたでしょうが」
「では、参りましょうか、クラウドさん」
「・・・。ああ」

   *   *

ミッドガルを見渡せる、荒野の一角に突き刺された古いバスターソード。
クラウドはじっと見つめ、リーブはすっと膝を落として花束を添え、両手を組む。

やがて目を閉じ、黙祷を捧げる二人。

死者を悼む厳粛な空気に、一歩引いて彼らを見守る護衛たちが息を呑む。
そして、彼らは自然にWRO式の敬礼をしていた。

「・・・英雄二人の英雄・・・か」
「隊長?」
「いや、何でもない」

レギオンも彼らにならい、敬礼した。

   *   *

「・・・すっかり付き合わせてしまいましたね」

ありがとうございます、と護衛たちに丁寧に礼をする局長へと、
憮然とした護衛隊長が突っ込む。

「護衛の意味を正しく理解してください、局長」
「そうですね・・・。レギオンの腕を見くびっていたのかもしれません」
「そうじゃねえだろ」

離れて見ていたクラウドが、同じくのんびり見守っていたWRO隊員に話を降る。

「・・・いつも、こんな感じなのか」
「そうですよー。リーブ局長とレギオン隊長。
この組み合わせはWROの3大掛け合いの一つなんですよ」
「・・・おい。なんだそれは」

レギオンが低い声で問う。
部下はさらりと返す。

「あれ。隊長、知らないんですか。リーブ局長中心の、WRO名物漫才コンビ」
「おや?私が中心ですか」
「はい」
「俺も入ってるのか・・・!」
「勿論です」
「因みに残りの二つは、局長とケット・シー、そして局長とシャルア統括です」

リーブはうーんと唸った。

「・・・残りの二つは、なかなか強敵ですね」
「あんた、俺はどうでもいいのかよ」
「え?いいじゃないですか、レギオンですし」
「あんたなあ・・・」
「・・・成程」
「納得していただけましたか、クラウドさん」
「ああ、大いにな」
「ううっ・・・。納得しないでくださいよ・・・」
「では帰りましょうか」
「あんた、否定しろよな」

fin.