※「帰郷」のその後
レギオンがいつも通りWRO局長室にやってきた。
一つ異なるのは、その両手で大きい段ボール箱を抱えていたことだった。
「それは何です?」
デスクについていたリーブはのんびりと尋ねた。
レギオンはほい、と段ボールを置いた。
「あー、その、お袋からあんたへ、コーヒー豆だ、そうです」
「おや。それはそれは。ありがとうございます」
段ボールを開けると、コーヒー豆の小袋がぎゅうぎゅう詰めに入っていて、暫くコーヒーに困ることはなさそうだった。
レギオンがふと袋の間に挟まっていた封筒を見つけた。
「あれ?何か手紙入ってますけど・・・。局長宛みたいですけど、」
中身を確認しようとするレギオンの手からリーブがさっと奪う。
「きょ、局長!?」
「ええと・・・」
白いシンプルな便箋を取り出せば、
手書きの、力強い筆圧で書かれていた文字が連なっていた。内容は部下である息子を頼みますという丁寧な挨拶だったのだ。
途中までは。
リーブは最後の1文を読み、僅かに目を見開き。
爆笑した。
「ちょ、ちょっと、何が書いてあったんですか!!!」
「いえ、ちょっと、ぷっくくく、さ、流石レギオンのお母様ですね・・・!」
「だから、何が書いてあったんですか!」
「ええ、ちょっとした、ぷっ、清々しい脅迫状ですよ」
「え・・・ええええ!?」
顔色を変えるレギオンを放置して、リーブは笑い続けた。
『・・・ですが。
息子に何かあった場合は、容赦なく怒鳴り込みに参ります』
fin.