66.プリズマコスモス

※もしもスマホゲームFGOイベント「深海電脳楽土 SE.RA.PH」にリーブさんとハンスが巻き込まれたら。「人魚姫の原文」の続き、「脱兎」の前。というかイベント終了後。ネタバレ注意。

 

レイシフトで本拠地カルデアに戻ってきた靱葛は、出迎えたハンスに思い切り抱き着いた。

「帰ったよハンス―――――!!!よかった、今度こそ私のハンスだよね!」
「抱き着くな!離れろ、何が『私の』だ、馬鹿者!!!」

霊体化まで駆使したハンスに逃げられたが、靱葛はめげなかった。すぐに実体化したハンスの目の前で訴える。

「でもでもずうっと会えなかったから寂しかったんだよーー!!」

うるうる、と目を潤ませれば、ハンスは深いため息をついた。

「よくよく特異点と滅亡の危機に巻き込まれる奴だな、マスター。並行世界とはいえ、あの毒婦に勝つとは。そこは評価してやろう」
「でしょ!あのね、別の並行世界のハンスが助けてくれたの!」
「・・・何?」

ぴたり、とハンスの動きが止まる。

「凄かったんだよー!私たちがキアラさんに一度全滅しちゃって、もうどうしようもないと思ってたんだけど、ハンスとリーブさんが助けてくれてね!あ、リーブさんは別世界のハンスのマスターでとっても紳士な人だったんだよ!」
「待て。意味が分からん!最初から話せ!!」
「うん!でも長くなっちゃうから後でちゃんと話すね。その前に・・・あのイベントの後、何とあのキアラさんが限定ピックアップ召喚に選ばれていてね!」
「な・・・何、だと・・・!?」

ハンスがよろめいた。余程のダメージだったらしい。

「頑張って聖晶石溜めてガチャ回したんだけど、出なかったの・・・」
「俺を殺す気かマスター!!!まず回すな!未遂に終わったからいいものの!!」
「でねでね、ハンスにお土産!!」
「は?」
「キアラさんは出なかったんだけど、その代り沢山珍しい概念礼装(サーヴァントに装備させると色々な効果が付けられるアイテム)が出てね!
別世界のハンスが『これをそっちの俺への土産にしろ』って言うし、確かにハンスにぴったりだから・・・その、付けてほしいんだけど・・・」
「・・・別世界の俺が言ったのか?」
「うん!!」

靱葛が笑顔でどきっぱりと肯定する。
ハンスは冷や汗を流した。

「・・・。(嫌な予感がする)」
「駄目・・・?」
「・・・ったくそんな捨て犬のような目をするな!分かった、付ければいいのだろう付ければ!!
但し、キアラの概念礼装ではないのだな!?」
「うん。キアラさんの概念礼装はイリヤちゃんにつけたよ?攻撃の方に効きそうだったから」
「そ、そうか。キアラではないのだな?イベント関連ではないのだな?」
「うん、違うよ?」
「な、なら・・・仕方ない。付けてやるから寄越せ」
「うん!!」
「・・・『プリズマコスモス』?効果は・・・。なっ・・・!?」

ぱさり、と彼の手からプリズマコスモスが落ちた。

*   *

「上機嫌ですね、ハンス。靱葛さんに何を勧めたのですか?」
「ふん。『プリズマコスモス』だ」
「『プリズマコスモス』?何ですか、それ?」
「サーヴァント強化装備の一つだ。効果は『自身に毎ターンNP8%獲得状態を付与する』」
「NPって確か・・・100%になると宝具が発動するんでしたよね?」
「ああ。俺の場合は『貴方のための物語』という原稿の締め切りが早く来るということだ!」
「・・・。つまり、別世界の自分の締め切りを早めた、ということですか」
「くくく。この俺を巻き込んだのだ。別世界の俺とはいえ容赦はせん!」
「いっそ清々しいですねえ」

fin.

「リーブさんをマスターとするハンス」は、「靱葛をマスターとするハンス」がキアラに会わないように引き籠ったせいで自分が巻き込まれたと思ってます。
なので並行世界の自分とはいえ相応の仕返しをする、みたいな(笑)。
因みにキアラが出ずにプリズマコスモスが出てきたのは実話。そしてハンスに付けているのも実話(笑)。でも後にキアラ出ちゃったけどね!!!